もしも学園生活 その3



10月。

ようやく残暑も抜けだし半袖では肌寒い日もやってきた。
しかし一年の中で最も過ごしやすい気温である事は間違いない。

そして10月とはキュピルのいる高校では一年の中でも最も忙しい月でもある。






キュピル
「ルイの昼飯美味そうだなぁ・・・。」
ルイ
「ちょ、ちょっと・・。あんまりじろじろ見ないでくれる?凄い食べづらいんだけど・・・。
ってか自分の分は?早く食べなさいよ・・・。」
キュピル
「食べたぜ。けど足りん。」
ルイ
「・・・もう成長期はとっくのとうに過ぎたでしょ・・・。」
キュピル
「違う!ルイ!秋はな!10月はな!食欲の秋なんだよ!!食っても食っても腹が満たねええええ!!」
マキシミン
「あっ!!てめぇっ!!よくも俺様の焼きそばパンを!!」


キュピルがマキシミンの焼きそばパンを奪い食い始めた。
食べ物の恨みは恐ろしいぞ!とマキシミンが叫びながら二人がまた教室で喧嘩し始めている。
二人がちょうど喧嘩を始めた時、ファンが教室に入ってきた。

ファン
「こんにちは、ルイさん。」
ルイ
「あ、ファンさん。こんにちは。」
ファン
「キュピルさんは何時もの調子のようですね。」
ルイ
「もう・・・キュピル君のエネルギーは一体何処から来ているのか分らんない・・・。所でファンさんが教室へ来るなんて
珍しいですね。どうしたんですか?」
ファン
「勿論キュピルさんに用事があって来たのですが・・・当の本人がこの調子では聞いてくれそうにありませんね。」
ルイ
「私に任せてください。」

ルイが立ち上がりキュピルとマキシミンに向き直る。・・・そして。


ルイ
「滅!!」
キュピル
「ヒィッ!!勘弁してください!!」
マキシミン
「すみませんすみませんすみません!!!」
ルイ
「はい、ファンさん。用件を話してください。」
ファン
「(何もしないで滅と言っただけで二人が震えてる・・・)」
キュピル
「あ、はいはい!ファン先輩!私目に何の御用でしょうか!」
ファン
「キュピルさん。唐突なんですが10月に科学コンクールと呼ばれる大会があります。」
キュピル
「ほぉほぉ。」
ファン
「ぜひとも私と一緒に参加して優勝を狙いませんか?」
キュピル
「お断りします。」

ルイ
「滅。」

キュピル
「はい!!ぜひともに参加し優勝を目指しましょう!!」




・・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。


キュピル
「いや、科学コンクールってどんなコンクールだよ!!!」

ファン
「とても簡単ですよ。日常のちょっとした小道具に科学的要素を詰め込んで一番発想の良かった人が優勝です。」
キュピル
「サラッと簡単って言うな!?」

研究室で詳細を聞かされるキュピル。高校生活、そして部活動が開始してから半年が経過した今。
剣道部はともかくとして科学研究の方は全く成果が出ていない。むしろ原子記号をようやく暗記した所だ。

ファン
「原子記号は中学の時に習いませんでしたか?」
キュピル
「んなの忘れたわ!とうの昔に!すいーへーりーぼーく・・・・あれ?ぼくのーりーねー・・ふねの・・。」
ファン
「・・・もう一度覚えなおした方がよさそうですね。」
キュピル
「うぐぐ・・・。」

科学の教科書を開きもう一度復習する。
・・・何だかんだで俺はちゃんと科学の勉強を続けている。勿論一般的な水準から見れば全然低いんだけれど。
ファンが黒板に何か色々な記号を書いていた時、ふと何かに気付いたらしくキュピルに向き直る。

ファン
「キュピルさん。そういえば今月は文化祭ですね。」
キュピル
「ん、あぁ。そういえばそうだったなぁ。」

十月前半に文化祭が存在し十月後半には剣道部の県大会がある。今剣道部は真面目に練習して県大会に向けて練習している。

そう俺は始めこそ科学研究部も剣道部も好きじゃなかった。けど気がつけばすっかりそれは生活の一部となり
今では欠かせない存在となっていた。・・・科学研究部だけは時々本当に嫌になる事もあるが。

ファン
「毎年文化祭でちょっとした発明品を展示しているのですが今年はキュピルさんも居ますから面白い物が作れそうですね。」

キュピルが首をかしげる。

キュピル
「俺が居るから面白い物が作れそう?」
ファン
「そうです。僕は確かに技術力はありますが発想力に乏しいので。この前の体育祭を通じて特に痛感しました。
技術力は勉強すればいくらでも身に着ける事が出来ます。しかし発想力に関しますと才能が関わってきますから。
今はまだキュピルさんは科学の才能は開花していませんが発想力という分野では既に開花していると思います。」
キュピル
「ファン先輩・・・。」
ファン
「手始めにどんな物質でも溶かす事の出来る液体でも作ってみませんか?
きっと文化祭でうけますよ。」

キュピル
「その発想はファンじゃないと浮かばない。」




しんみりとしていた俺が馬鹿だった・・・。


ドタバタ。


ファン
「おや?もうこんな時間ですか。」
輝月
「キュピル!県大会に向けて修行するぞ!」
キュピル
「あーはいはい。今行きますよ、輝月先輩。」
輝月
「うむ!」

輝月が誇らしげな顔を見せると道場へと戻って言った。

キュピル
「それではファン先輩。ここで失礼させて頂きます。」
ファン
「剣道頑張ってくださいね。噂によればエース候補と聞きます。」
キュピル
「いやぁ、まだ分りませんよ。」


・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


輝月
「うむ、今日はワシと模擬戦を行う。言っておくがワシは強いぞ。本気でかかってくるが良い。ワシも本気でかかるぞ。」
琶月
「これよりーキュピルさんと師匠の模擬戦をはじめまーす!
輝月
「さぁ来るがよい。キュピルよ。」
キュピル
「・・・・・」

暫く見合った状態が続く。
一向にキュピルが動かないため輝月が油断して一歩前に出る。が、その時。

キュピル
「たああぁっ!!」
輝月
「っ!なんと!」

キュピルが輝月の竹刀を巻き上げるかのように弾き飛ばした。

琶月
「ま、巻き上げ!・・・・失礼な技ですよ!!!!」
輝月
「良い、琶月。今のは油断したワシが悪い。だがキュピル。今の技だけでは一本取った事にはならぬ。さぁ、来い。」

輝月が再び竹刀を構える。キュピルも同じく万全の構えを見せる。

キュピル
「(輝月先輩は今の巻き上げを喰らって何だかんだで動揺しているな。その構えは確実に巻き上げを防ぐ構えになっている。
だがその構えには一つ致命的な弱点があってだな・・・。)
・・・籠手!!!」
輝月
「ぬおっ!早いな、お主。じゃが今のは防がせて貰ったぞ。」
キュピル
「(むぅ・・・、まだまだ修行不足だったか・・・)」


・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




ヘル
「キュピル、リフティングの県大会まで後二十日だが」
キュピル
「何で剣道からリフティングメインに変わってるんだよ!!」

ヘル
「冗談だ。さぁ、今日も剣道の稽古だ!俺の持つ竹刀を叩き落としてみろ!!」
キュピル
「もう剣道じゃねぇ、ごり押しだ・・・。」




・・・・。

・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




部活を終え、いつも通り校門前でキュピルとルイが合流しそれぞれの自宅へと帰る。


ルイ
「キュピル君、この前クラスで出す文化祭の出し物を決める会議の時居なかったけどどうしたの?」
キュピル
「え?いつそんなのあったんだ?聞いてないぞ?」

一応毎日学校には来ているのだがいつそんな事決めたのか知らない。

ルイ
「・・・黒板にちゃんと日時と教室書いてあったんだけど。」
キュピル
「あ、見てねぇや。」
ルイ
「あのマキシミンですら来たのに・・。」
キュピル
「なにっ!?マキシミンは行ったのか!?やべべべ・・・。・・・・で、もう決まったのか?」

キュピルがルイの顔を覗きこみながら聞く。ルイが顔を逸らし、続きを言う。

ルイ
「決まったよ。お化け屋敷をやる事になったの。」
キュピル
「お、お化け屋敷!?・・・ルイ、よかったじゃんか・・。お化けだってよ・・。」
ルイ
「ふふっ♪私もお化け屋敷が決まった時は嬉しかったかな。」
キュピル
「・・・ルイ・・お前まだお化け好きだったんだな・・・。
やめようやめよう、この話題は逸らす!」
ルイ
「え、残念・・・。」
キュピル
「いつも思ってたんだけどルイは何部なんだ?春の時聞いて煙をまかれてから今日まで聞けなかったけど・・。」
ルイ
「あ、まだそういえば言ってなかったね。私は今オカルト研究部にいるよ。ずっと幽霊探しているんだけど・・・。」
キュピル
「お化け屋敷強引に決めたのルイだろ?」




・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

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キュピル
「えーっと・・・つまりこの液体とこの液体を複合させると・・・?」
ファン
「こうなります。」

ファンが二つの液体を混ぜ合わせる。その瞬間さっきまで液体だったのが急に固体へと変化しカチンコチンに固まってしまった。

キュピル
「おぉ、凄い。」
ファン
「分子密度が高まるため固体に変わったように見えます。不思議に思いませんか?」
キュピル
「原理は全然分らんが面白い。」
ファン
「・・・そういえば来週文化祭でしたね。」
キュピル
「そうだ・・。」
ファン
「ではそろそろ何でも溶かす液体を作りましょうか。」

キュピル
「あれマジで言っていたのかよ。」





・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。




キュピル
「んがぁ〜・・・・。」
マキシミン
「ぐごぉ〜・・・・。」
ルイ
「ちょっとこらぁ!!寝てないでお化け屋敷作るの手伝いなさい!!」
キュピル
「んあ・・・。いやぁ、俺は何すればいいのか分んなくて。」

ルイが首をかしげつつ溜息をつく。

ルイ
「古典的な駄目人間ね・・・。そんなんだからフレッシュブラウン組に入れさせられたのよ。」
キュピル
「なっ、あれは関係ないだろ!!」

ルイ
「はいはい、悔しかったら早くあの段ボールをガムテープで繋げてね。」

ルイがキュピルにガムテープを投げ渡す。

キュピル
「・・・おらぁっ!マキシミン!起きろぉー!!」

キュピルがマキシミンの髪の毛にガムテープを張り付け、勢いよく引っ張った。

マキシミン
「いでででででで!!!!」

キュピル
「おい、お前抜け毛酷いぞ。禿げるな。」

マキシミン
「おい、ガムテープよこせ。お前にもやってやる。」

キュピル
「やめろよ、おい!こっち来るなよ髪の毛もフレッシュブラウン!!」


マキシミンが机の上に置いてあった小道具を投げキュピルの頭に直撃する。
衝撃でキュピルが後ろに倒れお化け屋敷で使用する段ボールで作られた小道具が潰れてしまった。

ルイ
「あああ!!!」

キュピル
「めんごめんご。」

ルイ
「滅!!!!」











ファン
「おや?今日はキュピルさん来ないのですか?」
ルイ
「忙しくさせました。」
ファン
「?」

ドタバタ

輝月
「キュピルよ!稽古じゃ!!・・・・む?キュピルはおらんのか?」
ファン
「キュピルさんは今文化祭の下準備で忙しいそうですよ。」
輝月
「ふむ、文化祭とな。」
ファン
「輝月さんのクラスは文化祭に何を出すのですか?」
輝月
「タコ焼きじゃ。」
ルイ
「(・・・あ、何か普通・・・。)」



・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

キュピル
「ドナドナド〜ナ〜・・・。」
ルイ
「責任取って今夜中に仕上げなさい!!」

ルイが縄跳びを鞭に見立ててキュピルの背中をバシンバシン叩く。

キュピル
「ひぃぃぃ〜!すみませんすみません!」

ルイ
「文化祭はもう三日後!!キュピルのせいで遅れっぱなし!!!」
キュピル
「痛い痛い!ごめんなさいごめんなさい!」


琶月
「いい気味ですね。(フフリ」








・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。








キュピル
「ぼええあぁぶぶえべべべぼぼぉぉぉおぉっっっ!!!」
女性二人組
「ぎゃあぁぁっっ!!へ、変態だーーーー!!!」

滅茶苦茶な顔で泡を吹きながら目の前を通った女性二人組を驚かす。
こんな事街でやれば普通は通報されるが今日は平気だ。なぜならば・・・。

キュピル
「(文・化・祭、In お化け屋敷!!)」


ついに文化祭を迎え今キュピルは驚かし役として定位置でスタンバイしている。
キュピルが驚かした後続いてル白い布衣装を身に纏い三角帽子をつけたルイが驚かすのだがどう言う訳かキュピルが驚かした後の参加者は皆別の意味で逃げている。
そのためルイがいくら頑張って脅かしても中々驚いてくれない。

ルイ
「(キュピル一体何やってるのよ・・・・。)」


ルイが待ち構えている位置を通りぬき出口付近でマキシミンが待ち構えている。
参加者が出口へ近づく。

マキシミン
「ぶるぶるぶるぶぶるるるぶぶぶべべべべえええええ!!!」

女性二人組
「はぁ?ツマンネ。」

マキシミン
「傷ついたわ・・・。」




・・・・・。


・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




ルイ
「二人ともお疲れ様。」

自分に割り当てられたシフトをこなし自由時間を迎えた三人。
ルイが気を利かして二人にジュースを手渡す。

キュピル
「お、さんきゅー。」
マキシミン
「ありがてぇ。」
ルイ
「何かみょ〜〜〜にキュピルが驚かした後お客さんの雰囲気が凄い変わってたけど何やってたの・・・。」
キュピル
「いや、俺は真面目にお客さんを驚かせてただけだぞ。」

ルイが疑心暗鬼な目でキュピルをじっと見続ける。

キュピル
「な、なんだよ!信用ないっていうのか!?ちゃんとお客さん叫んでただろ!?」
マキシミン
「俺の位置からお前の位置ギリギリ見えたんだがお前上半身裸・・・。
ルイ
「滅!!」









・・・・。

・・・・・・・・・・・。


ファン
「上半身裸で狂った顔をしながら泡吹いたら誰だって逃げますね。」
キュピル
「だろ?最強のお化け屋敷だと思ったんだがなぁ・・・。」
琶月
「あの、お化け屋敷の趣旨と違いますよね。それ。」


キュピルが手に持ってるハリセンで琶月の頭を叩く。

琶月
「ぎゃふん!」
キュピル
「さて、11時からは体育館で我等科学研究部の発表が行われるのだが。」
琶月
「それと私と何の関係があるんですか!?私師匠のお手伝いしないといけないのでここを去りたいんですけど・・。」

キュピル
「今日ついに何でも溶かす液体が完成して琶月に実験台になって貰おうって。」
琶月
「うぇっ!!?」
キュピル
「女の子の服が解ける瞬間って・・・ふひひひひひ。
ファン
「実際は肉も骨も溶けますね。」
琶月
「ぎゃあああああああああ!!!!変態ーーー!!殺人ーーーー!!わああああああああああ!!!」
キュピル
「五月蠅い、」

逃げようとする琶月の頭をハリセンで思いっきり叩き仕留める。

琶月
「ぎゃっふん!」
キュピル
「さぁ、時間だ!」

11時を迎えステージを隠していた幕が上がる。

キュピル
「レディースアーンドゥジェントルメーン!今日は世紀の大発明をお前等に見せるぞぉーーー!!」



『オォォォッーーー!!』



ファン
「す、凄い人の数です!!毎年僕の発表は二人か三人しか居ないのに今日は体育館を埋め尽くして居ます!!」
キュピル
「ステージのタイトルを 『科学研究部発表会』 から 『研究成果、女の子の服を溶かす液体開発!?無垢な女の子に生実験!!』 にしておきましたから。」
ルイ
「何、このAVみたいなタイトル・・・。
嫌悪感しかしない・・。」



ファン
「実際には肉も骨も解けますね。」
琶月
「キュピルさんちゃんとファンさんの話し聞いていますかあああーーーー!!?私死にたくなーーーい!!!」
キュピル
「お前等ー!こいつの裸が見たいかー!!」


『オォォォッーーー!!』


琶月
「変態だーーーー!!!」

ルイ
「滅!!!!」

キュピル
「うぼぇあぁっ!!」


ルイがステージ上に乱入しキュピルをボコボコにする。

ルイ
「キュピル!!もうあんたって人間はっ!!!」

キュピル
「ぼぇぁっ!ぼえぁぁぁっ!!」

馬乗りでガンガンキュピルを殴り続ける。

キュピル
「ルイぇっ!お前も・・・服溶かされたいのk・・」
ルイ
「滅!!!!!!!」



『おい、早くしろー!』

『携帯の電池がなくなっちまうじゃねーかー!』
(ちゃんと充電しろ

マキシミン
「ひゃっはー!キュピル助けてやるぜぇっ!!」
ルイ
「わっ!ちょ、ちょっと!!!」
キュピル
「いいぞぉっ!ぐわっ、ルイ、やめろ!」

ルイ
「滅!滅!!滅!!!」



・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


キュピル
「びなざま・・・おまだぜじまじだ・・・。いろいろドラブルはありまじたが・・・
ざっぞぐ、ごの二人にが服を溶かず液をがけようど・・おぼびばず・・・。」
ファン
「実際には肉も骨も溶けますけど面白そうですね。」


ルイ
「ンンンッーー!!」
琶月
「もうだめだあーーーー!!」
キュピル
「ヒッヒッヒ、悪いなぁルイ!お前も生贄(ry」

縄で拘束されている二人。ルイに至ってはガムテープで口を塞がれている始末。

キュピル
「ではファン博士。例の液体を。」
ファン
「あの箱の中に入っていますよ。」
キュピル
「いざ、オープン・ザ・ボックス!!」

キュピルが得意げな顔をしながら床に置いてある箱をあける。
が、箱の中身には穴の空いたビーカーと底が見えない程深く続いている大きな穴だけがあった。

キュピル
「ん、ファン。ビーカーとステージに穴空いてるんだけどこれ何だ?」
ファン
「あ、何でも溶かす液体ですから恐らくビーカーも溶かしてそのまま体育館の床を溶かし続けているんだと思います。」
キュピル
「・・・・・。」

ルイ
「よし、縄ほどけた!!」

キュピル
「皆さん、さようなら〜。」








・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






ヘル
「お前、随分とボロボロだな。何か言え。」
キュピル
「・・・・・・もう色々反省じでまず・・。」
ルイ
「ふんっ!!!」

マキシミン
「くそざまぁwww」
キュピル
「おめぇっ!!」




「・・・あ、いたいた!キュピル先輩ーーー!!」



キュピル
「・・・・はっ!!この声は!!!」
マキシミン
「なんだぁ?」
ルイ
「うっ・・・・。」

その場にいた皆が声の聞こえた方へ振りかえる。
教室の扉にボサボサの黒髪女性が一人立っていた。

キュー
「キュピルせんぱーーーーい!!」
キュピル
「おぉぉー!キューじゃないか!!」

キューという名のキュピルの後輩らしき人物がキュピルの元へ駆け寄りそのまま抱きつく。

ルイ
「あ・・・。」
キュピル
「何だ何だ、来てたんだったらメールで教えてくれたってよかったのに。」
キュー
「にひひ。内緒で行くのが一番びっくりするだろー?」
ヘル
「そいつは誰だ?」

ヘルが不思議そうな顔しながらキューを指差す。
キューがその手を叩き落とす。ヘルがニヤニヤしながら叩かれた手を振る。

キュピル
「こいつは中学の時の部活の後輩!半年ぶりだなー。」
マキシミン
「何、お前の後輩!!?」

頭をグリグリとキュピルの顔に押しつけるキュー。その姿はまるでペットのよう。
仲が凄い良いんだなぁっと回りが思う一方、一人嫉妬したような顔をして顔を背けるルイ。

マキシミン
「・・・お前随分と可愛い子に懐かれてるな・・。くそ、俺によこせっ!!」

キュー
「きゃぁっ!」
キュピル
「おい、やめろよ変態!!(真面目顔」

マキシミン
「さっきのてめぇだけには絶対に言われたくねぇっ!!」


二人がまた乱闘騒ぎを起こしている中、キューがルイに気付く。

キュー
「あ、ルイ先輩もいたんですね。」

小悪魔的な笑みを浮かべるキュー。一方ルイは苦渋の色を浮かべている。

ルイ
「ずっとここに居たよ・・。」
キュー
「ふーん・・・あ!キュピル先輩!私来年ここ受験することに決めたんですよ!」
キュピル
「何本当か!?言っておくけどここは難しいぞぉー!」

鉛筆転がしと直感、そしてカンニングで乗り切った自分の事を棚に上げてキューを脅す。

ルイ
「そうよ、あまり無理にランク上げすぎると何処も合格出来なくて浪人しちゃうかもよ。」
キュー
「アタシ今偏差値81なんです。」

ヘルとマキシミンが驚きの声をあげる。勿論その中にキュピルも含まれている。

ヘル
「なっ、偏差値81・・・!?今から大学入試受けても十分合格できるレベル・・・!!?」

ルイも心底びっくりしたかのような顔をする。

キュピル
「偏差値81って・・・もしかしてルイより頭良いんじゃないんか・・・!?」
ルイ
「ちょっと・・。貴方ってそんなに頭良かったっけ・・・。嘘言ってるんじゃないわよね・・」
キュー
「ふっふー。嘘じゃありません!キュピル先輩が居なくなってもう暇で暇でしょうがなくてー。
そしたらキュピル先輩が名門高校に行ったって話しを聞いてアタシは今勉強しまくってる!!」
キュピル
「へぇ・・・すげぇな・・・。」

キューがキュピルに向き直り、やや誘惑をかけるかのような表情で喋る。

キュー
「あ、でも、もしこの高校に入ったらまたキュピル先輩とずっと遊んで馬鹿になっちゃうかも?」
キュピル
「俺馬鹿は嫌いだ。」

マキシミン&ルイ
「てめーが言うな!!」



マキシミンとルイが飛び膝蹴りしキュピルをボコボコにする。
その様子を見てヘルは腹を抱えながら笑い、キューもつられて笑う。

キュー
「せんぱぁーい!せっかくですから文化祭楽しみながら私にここの学校の事色々教えてください!」
マキシミン
「可愛い事イチャイチャとか俺が許さん。お前今からお化け屋敷のシフトな。」

ルイ
「マキシミン良い事言ったね、キュピル今からお化け屋敷のシフト。」

キュピル
「はぁ、意味わかんねーし!!」


キュピルがわーわー言いながら抗議する。

マキシミン
「お譲ちゃん。この俺がここの学校について優しく丁寧に教えてあげましょう・・・。

私は貴方の事をよく知りたい・・。」
キュー
「きもい。」

キュピル
「くっそざっまぁwwwwきwwもっうぃwwwwwww」

マキシミン
「五花月光斬!!!」

キュピル
「うわぁっ、何だこの技!!!」



マキシミンが覚醒し未知の技を繰り出す。
キュピルが廊下の果てまで吹き飛びそのまま気を失ってしまった。

キュー
「あー・・・・。」
マキシミン
「おっ、今俺に神が舞い降りたぞ。」

来年もしかしたら非常に騒がしい一年になるだろうと誰もが思った一方、ルイは不安を覚えた一日だった。



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